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稲垣吾郎ドラマ アザーセンス 霊感心理カウンセラー 六条伍銅⑧

 二人は、伍銅の家に着いた。達也はこれから幼児のわいせつサイトをあたる事にした。伍銅はもう少し、カナの心理状態を分析する事にし、二人は分かれた。別れ際に達也が言った。

「新しい情報が入ったら知らせるよ。今日はありがとう」

「他ならぬ達也様の頼みだからな」

 伍銅は少しおどけて答えた。

 

 自宅のカウンセラー室で伍銅はお香を焚いた。祖母がよく自分の部屋で焚いていたが、いつの間にか伍銅も気持ちを集中させたい時に同じ事をするようになっていた。椅子に腰かけ、背もたれに背中を預けて静かに目を閉じた。

 一体、どうするのが良いんだ?僕が選ぶべき道は?カナは自分の運命に抗おうとした。母性を持たぬまま母親になった自分の母を憎んだ。負の連鎖を断ち切れると信じていた。決して自分はそうならないと誓った。しかし結局母親と同じ、娘を苦しめる事しかできなかった自分に腹が立った。カナは真奈を突き落としてはいない。誤って落ちて行く真奈に手を伸ばしたが届かなかった。でも、もうそんな事は今のカナには関係ない。真奈の死は自分のせいだと思っている。不慮の事故だろうと故意の殺人だろうとカナには、真奈が死んだことには違いがなく、自分の刑が軽くなる事なんかは望んでいない。真奈がわいせつな写真を撮られていたことも公にしたくないと思っている。すべてを闇の中に隠して、この事件も自分の事も真奈の事も、すべての人の記憶から消してしまいたいと思っている。この事実を明るみにして一体誰かが救われるだろうか?僕の能力は、何に役立つんだ?カナは聡明な女性だ。もし普通の家庭に産まれ育ったなら、普通に幸せな生活を送れていただろう。それが望まれずに産まれて、劣悪な環境で育った。それはカナの責任ではなく、どうする事も出来ない運命だった。抜け出せない負の連鎖。カナと真奈の魂をどうやって救う事が出来るのだろう?僕の役割とは・・・。抑圧された無意識を開放し、本来の姿を取り戻させる事。そうしない限り苦しみを昇華することが出来ないんだ。たとえどんなに辛い出来事でも、事実を明らかにして心の膿を出し切らないと・・・。僕は深い海の中に沈んだかのように意識を集中させた。

 どのくらい時間が経っただろうか。後は達也からの報告を待つとしよう。その日僕は深い眠りについた。

 

 2日後、達也からわいせつサイトで、貫が投稿されている真奈の画像を見つけたと報告を受けた。僕はカナの初公判に弁護側の証人として出廷する事を伝えた。