ゴロチマニア 

日比日向多が勝手に稲垣吾郎さんを語ってます

稲垣吾郎ドラマ 六条伍銅シリーズ 王子様な生活⑩

 そんな僕らに別れは突然やってきた。サキに連れられて、ある人物に会った。占い師でもあり、ちょっと胡散臭い信仰宗教家的な人物だった。前世を見ることが出来ると言うその女性は、活動名を眞行知縁(しんぎょう ちえん)と名乗る、サキの母親だった。

「こんにちは、六条さん」

 知縁は大阪のおばちゃん的な雰囲気で、虎プリントのシャツにヒョウ柄のジャケットを合わせるような人だった。

「母なんだけど、正確に言うと、父の2番目の奥さんだった人。私の本当の母親は私が小学生の時男作って出て行って、なもんであたしがぐれちゃったんだけど、でこの知縁さんが私が中学生の多感な時に後妻に入ったわけ」

「瑞枝はさらにぐれて、ヤンキーまっしぐらになったけどね」

 知縁が懐かしそうに言った。

「色々あったわ。この子をどうしたら良いんだろうって。そしたらある日、急に目覚めちゃって」

「何に?」

 思わず知縁に聞いた。

「霊感よ」

「・・・霊感?ですか・・・?」

 僕がいぶかしそうに言うと、サキがすぐに反応した。

「あっと、やっぱ信じてない。良いけどさ。でも私と知縁さんはそのお陰で今があるの」

 サキを補足するように知縁が話した。

「前世が見えるようになって。そしたら、私と瑞枝は前世と前前世で関わってたの。前前世はある集落の巫女の姉妹でね、二人は自分たちの集落を守るために祈祷やまじないをする仕事をしてたの。巫女だから男も知らず、その上最後は二人とも雨乞いの生贄になって。本当に太古の話。その次の前世は二人とも遊女で、同じ場所で働いてたの。きっと前前世が、巫女で男っ気なかったからかね~。そこから母親って言う立場じゃなく、姉妹・同僚の感覚で瑞枝と向き合ったのよ」

「そうそう、急に『あたしを継母じゃまく、お姉ちゃんだと思いなさい‼』とか言い出して。でも不思議とその頃から知縁さんて呼ぶようになって、心も徐々に落ち着いてきて。父と知縁さんが離婚した後も、私は知縁さんに付いて行ったの」

「そうなんだ・・・」

 僕は他に言葉を見つけられなかった。サキが何となく沢山の過去を背負っている印象はあったが、ちょっと、いやかなり想定外であった。

「で、六条さんの前世なんだけど、あなたはひとつ前はヨーロッパの貴族。バロック調の物やワインとか好きでしょう?その前は日本の皇族。平安の頃ね。優雅な生活で、唄を歌って、女性との恋の駆け引きを楽しむ日々。全く私や瑞枝とは真逆ね」

「道理で、伍銅ちゃんが王子様キャラの理由が分かったわ。前世と前前世の記憶がそうさせてるのね」

「そうなのかな?」

「そうよ。ほら5歳くらいで天才ピアニストとかって言われる子っているじゃない?ああ言うのは、前世や前前世で音楽家だったりするのよ。その生まれ変わりだから、生まれ持った才能があるの」

「うん、まあそうか」

 納得はしないが、分からなくもない感じがした。

「知縁さんが急に霊感に目覚めたのも、私が体験していない事をエッセイとして書けるのも、前世の影響なの」

「ただね~、瑞枝と六条さんは水と油で、全く釣り合わない。持っている感覚に共通点が無いの。最初は珍しくて惹かれあうんだけど、次第に理解できなくなるの。お互いの事を」

「ちょっと知縁さん真面目に?」

 サキが声を上げた。

「そう、二人がこの先上手くいく可能性はほぼゼロね。あるとしたら・・・」

「あるとしたら?」

 僕も思わず聞いてしまった。

「そうね、私たちと一緒にこの活動をして、お互いの価値観を共有することかしら」

「あっ、いいじゃんそれ」

 サキの言葉を聞きながら、僕は自分が幽体離脱したかのように肉体から心が離れるような感覚に陥った。マジか?これ?ありえね~。