ゴロチマニア 

日比日向多が勝手に稲垣吾郎さんを語ってます

稲垣吾郎ドラマ アザーセンスⅡ 霊感心理カウンセラー 六条伍銅⑤

 石山真紀は離婚後一人息子を育てて来た。その息子が学校でいじめにあい、不登校となりその後自殺した。いじめの主犯格は3人。刺された父親の子供の名前は、長瀬耕哉(ながせ こうや)。いじめの事で学校が行った保護者説明会で長瀬の父親は高圧的にこう言い放った。

「うちの子が何をしたって言うんですか?いじめられたって言ってる子が、貧乏で毎日同じ服着てるのが悪いんじゃないんですか?汚いし、臭いし。そっちを注意したらどうなんだ!」

 ふてぶてしい態度の長瀬の父親を見て、真紀は言葉を失った。謝るどころかうちが悪いと・・・。

 更に長瀬の母親が言った。

「大体、子供に先生が謝らせて、意味が分かんないって。何を謝ればいいのか?子供も先生に言われたから謝ったけどって言ってた」

 真紀はこの夫婦、二人して常識がないと憤慨した。しかし、自分は離婚して仕事も嘱託の身で、強気に出てくれる夫もいない。黙っているしかなかった。とても不快な時間だった。真紀は心の中でつぶやいた。

『死んじゃえ、死ねばいい、死ね、死ね』

 そんな絶望の保護者会の後日、卒業式で真紀が見た光景は、意外な状況だった。教頭と長瀬夫婦がにこやかに談笑していたのだ。暫く経って状況が真紀にも理解できた。長瀬の家には下に子供がまだ2人おり、学校との付き合いが数年続く。ならば、この面倒な夫婦を敵に回すより、味方にする方が得策だと学校側が考えたのだと・・・。そして、1か月後息子は首をつって死んだ。全てがおかしい・・・、真紀は納得できずにいた。息子がいなくなって、真紀には生きる意味も見失いかけていた。それでも、息子の供養のために、仕事に行き、懸命に日々を送っていた。

 

 伍銅は、真紀の心の変遷を梨花に説明した。梨花はぼそっとつぶやいた。

「なんか、切ないわね。学校って、何なんだろう・・・」

「そう、そんなある日、石山真紀はふと仕事帰りにパチンコ屋に立ち寄ったんだ。軽い気持ちで2千円ほど使ったら、ちょっと出てしまって。パチンコをしている間は何も考えずに済んだんだ。それで、再び同じパチンコ屋に行った時・・」

「どうしたの?」

「偶然、長瀬の父親に会ったんだよ。会ったというか見かけたんだ。驚いた真紀は見つからないように店を出て、自分の車に戻った。見たのは卒業式以来だが、不快感と憎しみと、怒りが噴き出してきた。しばらく車で時間を過ごしていたら、長瀬に父親が真紀の車の迎えに止めてあった車に乗り込んだんだ。その時、真紀は長瀬の父親の車を知った」

「で、後をつけたの?」

「いいや、まず真紀は自分が気づかれなかったかどうかが、一番気がかりだった。息子がいじめられて、その上自殺して、なのに母親がパチンコに来てるなんて、知られたくないと思ったんだ。その日はそのまま家に帰った。だが、次の週末に真紀がパチンコ屋の駐車場を確認しに行くと、また長瀬の車があったんだ。その時、真紀はふとある小さな嫌がらせを思いついたんだ」

「どんな?」

「まあ、家に電話して、妻に夫が浮気してると嘘を言おうかと」

 真紀は自宅に戻ると小学校6年生の時の連絡網を取り出した。長瀬の家の電話番号を番号非通知の184をつけて発信した。4回コールがなった時、切ろうと思ったら気だるそうな女の声が聞こえた。

「はい、長瀬です」

 その声を聞いて、真紀は長瀬の妻だと気付いた。急に怖くなって、声が出なかった。

「あっ、・・・あ・・」

「どなたですか?」

 長瀬の妻が聞いてきた。真紀は慌てて電話を切った。心臓の鼓動が激しく打っているのを感じた。

『何してるんだろう…、バカ』

 真紀はつぶやいた後、泣いた。息子はもっとひどい事をされたのだ。死にたくなることをされたのだ。だったら、こっちだってひどい事をしてもいいはずなのに、そんないたずら電話も出来ない自分が情けなく、そんなことをしている自分が惨めだった。