ゴロチマニア 

日比日向多が勝手に稲垣吾郎さんを語ってます

稲垣吾郎ドラマ アザーセンスⅡ 霊感心理カウンセラー 六条伍銅⑥

  伍銅の話を聞いていた梨花が聞いた。

「それであんなに苦しんでるの?」

「いや、真紀にはやはり釈然としない思いがずっと渦巻いていたんだ。息子はもういないんだからね。自分だとバレない方法で、あの夫婦に一矢報いたい思いが時間とともに、沸々と起きてくるんだ。苦しさ、くやしさ、惨めさ。色々な感情が交錯する中、彼女の心の声を聞いてあげられる人もいなかったんだ。1週間ほど経って、又パチンコ屋に行くと、長瀬の車を見つけた。今度は店舗に入り、長瀬がパチンコをしている姿を確認して店を出た。そして今度は覚悟を持って電話をしたんだ」

 

 石山真紀は公衆電話のボックスに入った。最近携帯電話の普及で公衆電話ボックスは激減している。前もって、真紀はボックスの場所を確認していた。長瀬が家に帰る前に電話しなくてはならない。ボックスに入ると長瀬の家に電話を掛けた。呼び出しが5回程鳴った。

『もしもし…。』

 幼い女の子の声がした。長瀬耕哉の妹だ。

『お母さんいますか?』

 真紀は少し声色を使った。

『いる・・・。お母さん電話?』

『え、誰?』

 電話の向こうで妻の声が聞こえた。真紀は受話器を握り締めた。

『もしもし、どちら様ですか?』

『・・・、旦那さんと別れてください』

 真紀は思い切って言った。

『はあ?あんた誰?』

 むっとした声で長瀬の妻が言った。

『旦那さんは、あなたと別れたがっています。奥さんが嫌だって。下品で、子供のしつけも出来ないって』

『さっきから、あんた何なの!』

 長瀬の妻が声を荒げて言った。真紀は手が震えていた。両手で受話器を持ち最後の一言を告げた。

『今、旦那さんと一緒に居ます』

 そう言い切ると真紀は受話器を置いた。心臓が口から出てきそうなほどドキドキした。ボックスから出ると車に乗り込んだ。少し吐き気がした。後悔はなかった。こんな程度の嫌がらせでドキドキする自分が小さく思えた。その反面、少し気分も晴れた。どうせ妻は夫に確認の電話をするだろう。その時パチンコ屋に居る事が分かって、いたずらだと二人とも気づくだろう。自分だとバレなければそれでいい。真紀は自宅に帰った。所がそれから1か月程してあの事件が起きた。長瀬の妻が夫を刺して殺してしまったのだ。事件のあらましは夫の浮気の事で夫婦喧嘩になり、かっとした妻が夫を刺したのだった。自分の電話が思わぬ方向へ動いてしまったと真紀は驚いた。

 

「真紀は、事件が自分の電話が発端で起きたと思ったんだ」

「真紀さん、さぞかし驚いたでしょうね」

「ああ、死ねばいいと思っていたが、実際事件が起きて怖くなった。その反面いい気味だとも思った。自分の心の中を自分でも収拾付けることが出来なくなり、憔悴して意識を失ったんだ」