ゴロチマニア 

日比日向多が勝手に稲垣吾郎さんを語ってます

稲垣吾郎ドラマ アザーセンスⅡ 霊感心理カウンセラー 六条伍銅⑨

 伍銅は、一つ大きく深呼吸をした。そして、真紀の方を見ると静かに、ゆっくり話し出した。真紀はうつむいたままだった。

「あなたは、ふと立ち寄ったパチンコ店で長瀬の父親を見つけた。きっとドキッとしたでしょう。こんな所で見かけるなんて。あなたは自分がパチンコ店に出入りしているのを知られたくなかった。慌てて店から出て、車に乗り込んだ。色々な思いが錯綜したことでしょう。自分の息子はもうこの世にいないのに、長瀬夫婦は何も罪の意識も感じていない。憎悪感、しかし自分もパチンコ店に立ち寄ってしまったことへの後悔。心を落ち着かせようとした時、偶然長瀬の父親があなたの車の斜め前に停めてあった車に乗り込むのを見た。そのことで、あなたは長瀬の車を知ることになった。その日は自宅に帰り、夜になると色々な思いがよぎって来た。やはり許せない思いが・・・。そこであなたは、頭の中でほんの些細ないたずらをシミュレーションしてみた。長瀬の父親がパチンコに興じている時、自宅に電話をかけ妻に「旦那さんと別れて欲しい」とまるで、浮気相手のようなふりをしてみた。ちょっとした夫婦げんかになる、そんな事を思い浮かべて、心を紛らわせた」

「随分見ていたように言うんですね」

 真紀がきつい口調で言った。

「ええ、見えるんです。僕には・・・。続けます。数日後、再びあなたはパチンコ店に行った。正確には、パチンコ店の駐車場を確認しに行ったんです。長瀬の車があったらどうしよう?と思いながら行ってみると、見つけてしまった。躊躇したが、あなたはとりあえず店内に入り、長瀬がいるかどうか確かめた。長瀬が店内でパチンコをしている姿を確認した後、あなたは思い切って行動に移した。公衆電話から長瀬の家に電話をかけた。長瀬の妻が出ると、「あっ・・」と言う声だけで、切ってしまった。心臓がドクンドクンと音を立てていた。軽い吐き気もした。何も言えなかった。なのに、こんなに苦しいのだろうと思った。自分の子供はもっと悪意に満ちたいじめに遭っていたのに。どんな思いでいじめた子たちは行っていたのだろう、息子は、どれ程苦しかったのだろう、そう思うと泣けてきた。ほんの些細ないたずら電話も出来ない自分が、情けなくもあった」

 真紀は黙って聞いている。いや、真紀はすでに確信していた。伍銅は全てを見透かしていることに。隠しきれない事への、ある意味安堵感もあった。

「石山さん、何かここまでで、言いたいことはありませんか?」

「・・・、六条先生は全てを見てるんでしょう?だとしたら、私が自分でも説明できない心の葛藤も見えるのかしら?」

「心の葛藤・・ですか。僕は、あなたを心の呪縛から解放したいと、いえ解放するつもりです。それが僕に与えられた使命ですから」

 伍銅の言葉は、そばで聞いていた梨花にも響いた。梨花は、心の中でつぶやいた。

『これが本当の六条伍銅なんだわ』